デトロイトの民家再生プログラムを振り返ってみる その3
次にとりかかった作業は家の中の解体作業です。壁は時間の経過によって壊滅的な状態だった為、全て解体してStud(骨組み)だけを残します。
さて突然ですがみなさん、Lead Poisoning(鉛中毒)ってご存知ですか?
アメリカでは1978年に建築の鉛の使用が禁止されたので、それ以前に建てられた建築物には鉛が残っている可能性が高いのです。
ポートランドに住んでいた時は学校の古い水道管に鉛が使われていて古くなって侵食が始まっている部分から鉛が水に溶け出し、子供の飲み水に混入してしまっている、と一時期ニュースになっていました。
水道管だけではなく鉛は昔ペンキにも使われていました。鉛はWifiや携帯の電波に影響を与えてしまうので携帯の電波が極端に建物の中で悪いとLead Paintかな?と疑ってしまいます。まあ、使われていてもきちんと処理する方法があるらしいので健康被害の心配まではしませんが。
でも鉛中毒って子供に起こると認知発達障害を引き起こしたり、大人に関しては人格の変化(!)、胃腸障害、脱力など聞くとゾッとしてしまう症状があるそうです。
私の築1983年の家もおそらく、鉛のペンキが何層にも厚く塗られたペンキの層の一つに隠れているだろうと言われました。実際、デトロイトランドバンクでオークションに出されている家は古い家がほとんどなので、民家再生プログラム参加者に鉛中毒への注意喚起をしていました。アスベストもありましたっけ。アスベストは我が家ではパイプの断熱に使われていました。
私の知り合いの友達がローカルの窓を修復する会社で働いていた時に鉛中毒になってしまったと聞きました。古い窓を修復するお仕事なのにスタートアップの会社で鉛対策を怠っていた為、そうなってしまったようです。ちなみにその会社、のちに私の友達が働き始めたのですが流石に従業員に定期的に鉛の検査を行うことにしたらしいのですがその友達は防塵マスクをつけていても、検査を行うたびに危ない値以上の鉛が検出されてしまっていたようです。。。
そんな恐ろしい前情報を盛りだくさん仕入れていたので、次のリノベのステップとして壁の解体作業ををするにあたりかなりビビりまくっていた私です。
解体前の家の中はほんの一部を除いて全て漆喰の壁にペンキが塗られていました。
その壁にはBaseboard、Crown MoldingやTrimなど装飾がつけられているのでそれをハンマーで取り外し、漆喰の壁を壊しながら剥がしてゆく解体作業を夏の間永遠に繰り返しました。これが本当に辛かったんです!埃っぽいし、鉛は心配だし、漆喰の塊がガラガラ落ちてきて危ないし、その下にあるLathという木の板がまた厄介で。。。
Baseboard、Crown MoldingやTrimなど木でできた装飾(緑の上にあるやつとか窓の周りとか、壁の下にあるやつ)。これを取り外さないとその下の漆喰の壁が解体できないのがまず厄介。
解体する前の様子。天井のところ、漆喰が剥がれ落ちてlathがむき出しになっています。
漆喰を取り除いた壁。まだまだこれから残っているlathを取り外す作業があります。
お金に余裕があれば業者さんを雇えばいいのだろうけど、解体だから自分たちでできるだろうと思ったわけです。自分たちでやれましたが、一回経験し終えてこれをまたやれと言われたら、、、絶対やりません(笑)まあ、自分の家だからできたことかなと、振り返って思います。ボロボロでお化け屋敷みたいな家の中が綺麗になっていくのは大変だけどやり甲斐もありました。
でも、、、解体やってる最中妙に怒りっぽくなったのは
鉛のせいかしら?